【相場を観測する】チャートを用いて詳しく解説します!(第5弾)
『着眼大局着手小局』No.5
【週足参照】 =値幅が伴う反動高とリズムの逆転形成を待つ=
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前回「下値を探る経過も反動高値幅に注視」(記:2020/3/2)では以下のように述べた。
(前回の『着眼大局着手小局No.4』はこちら)
「高値(U)24、083円は安値(R)19,155円から56週を費やし、上げ幅4,928円と前上げ(J~O)の経過時間57週、上げ幅4,996円にほぼ見合う時間と値幅となったほか、値バランス値24,151円=R+(O-J)の影響を受ける格好で、18年10月高値(O)24,270円を目前に急反落した。
高値(U)24,083円から直近値21,142円(2/28)までの下げ幅は2,941円と安値(T)20,261円以降最大の値幅が生じた。
さらには、安値(R)19,155円を基点とする三波動構成の第二波動の下げ幅2,046円(S~T)を一気に上回った。
よって、現在は下値を探る経過となっている。ただ、下値を探る経過は短期急落型となっていることから反動高も伴いやすく生じる値幅が注目される。」とした。
実際には、それまでの経過を受け継ぐ格好で下げが加速した。
3月9日は▲1,050円安で19,698円と安値(T)20,261円を一気に下回った。12日は▲856円安の18,559円と安値(R)19,155円下回り、高値(U)24,083円は18年10月高値(O)24,270円から切り下げ(二番天井)が決定すると同時に下げを加速し、直近の安値(V)16,552円と切り下げた。
高値(O)24,270円から同年12月安値(R)19,155円までの下げ幅▲5,115円、および15年6月高値(A)20,868円から翌16年6月安値(F)14,952円までの下げ幅▲5,961円の一重要な二つの水準を一気に下回った。
①18,968円=U-(O-R) ②18,122円=U-(A-F)
また、直近の安値までの下げ幅は、今年1月高値(U)24,983円から▲7,531円と、18年高値(O)24,270円から▲7,718円と拡大し、09年3月安値7,054円以降最大の下げ幅となった。
よって、現在は下値を探る経過の継続となっている。
その場合、下値は以下の水準が挙げられる。
(1)16,514円=24,270円-7,756円(04年5月高値~07年7月安値)
(2)16,439円=T-(U-T))
(3)16,316円=24,270円-7,954円(98年10月安値~00年4月高値)
(4)16,089円=24,270円-8,181円(95年7月安値~96年6月高値)
ただ、短期の急激な下落で下げ幅も急拡大していることから反動高が伴いやすい状況にあり、生じる反動高の値幅が注視される。
その場合、以下の反動高値幅が挙げられる。
※アンダーラインの値幅がより抵抗を示す可能性がある。ただ、クリアすることで順次アンダーラインの値幅にターゲットが移りやすくなる。
(1)902円 (2)1,045円 (3)1,112円 (4)1,348円
(5)1,495円 (6)1,899円 (7)2,046円 (8)3,152(9)3,419円
※水準は今後に示現される安値に加算して求めることになる。
【日足参照】 =値幅のある反動高の発生を待つ=
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また、日足では前回「リズムの取り戻しが重要」(記:2020/3/2)と、以下のように述べた。
「19年8月安値(A)20,261円を基点とした第七波動の高値(H)を24,083円に反落し、第八波動の下げ幅が1,112円(H~I)と安値(A)20,261円以降最大値幅となったあと小戻しを挟んで安値(Ⅰ)22,971円を下回った。翌3月2日は高値(H)24,083円からの下げ幅が一時3,249円と拡大した。
よって、現在は一本調子の下げとなっていることから反動高が伴いやすい経過となっており、値惚れ買いや日々の騰落に一喜一憂せず株価変動より相場変動を確り観察し底値を確認することが最重要となる。
また、戻り基調へ移行する経過パターンとしては、半値戻しとその水準の維持が条件となる。」とした。
実際には、それまでの下落リズムを継続し、下げも急調となって下げ幅を拡大した。
年初からの騰落リズム(上げ…□、下げ…■)
1月=■□■□□□■□□□■□■□■■□■□
2月=■□□□■■□■■■■□□■■■■■
3月=□■□□■■□■■■■□■■(19日現在)
3月2日(201円高)以降の日々の騰落値幅は、翌日▲261円安、続伸△246円高、続落▲1,630円、反発△168円高、4日続落▲2,865円、小幅高△9円高。19日現在は、続落▲459円と2月初めの3日連騰以降は、わずか1日から2日の値戻し(下げ止まり)を挟むだけの下落リズムの基調となっている。
よって、現在はこの下落リズムが逆転する「上げ(上昇)の日数が多く値幅も大きくなる。
一方、下げ(反落)の日数は短く値幅も上げ幅より小さくなる」現象が生じるか否かが注目点となる。
また、値幅のある反動高の発生後に生じるリズムの逆転の形成は、相場の反転につながりやすくなる。
換言すれば、相場の「現状を認識」(受容)するとともに「自律性の変化」を注視し、「下げの終焉」を確認(待つ)することが大切である。
※次項の【「フォーカス」】では“市場のセンチメント”を探る指標のひとつとして「新値銘柄数の推移を掲載した。
現在の市場の状態を目で確かめてみてはどうだろうか!?相場は目に見えないもの。「論より証拠」として“視覚化”してみた。
【フォーカス】 ~新値銘柄数と日経平均株価~
以下に、「新値銘柄数と日経平均株価」(チャート参照)の関係をみてみた。
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新値銘柄とは、一定の期間において記録していた高値または安値を更新した銘柄のことである。
この銘柄数の増減によって相場全体の強弱感を測ろうとするもので、市場のセンチメントを表す指標の一つとなっている。
要するに、新高値銘柄数が増加基調を辿る場合は、市場のセンチメントが好転し、強い相場状態に変化してきている。
一方、新安値銘柄数が増加し始める場合は、市場のセンチメントが弱まるほか悪化へとつながりやすくなる。
さらに、新安値銘柄数の急増は値幅が伴う強い調整へ進展していることが窺がえる。
現状では、多少の波乱が伴っても新安値銘柄数が減少傾向の鮮明化が相場の落ち着きを取り戻すことにつながる。
※表記の新値銘柄数は、日々の高値銘柄数から安値銘柄数を差し引いた差の5日平均をグラフとして掲載している。
[補足説明]
新値銘柄数の計測は、通常4月1日以降は年初来(その年の大発会以降)が対象期間となるが、1月から3月の間は、昨年来(前年の大発会以降)の最高値と最安値として、前年の1月からの株価で判断する。
よって、4月以降の期間のスタートは昨年来(前年)から年初来(その年の1月から)へと株価(高値または安値)の判断基準の年月日が変更されることから、株価の位置によっては新値銘柄数(新高値または新安値)が増加しやすい季節性(要因)がある。
※権利落ち(増資や株式分割など)が生じた場合は。それ以降の新高値と新安値となる。
さらには、新値銘柄数(新高値および新安値)のピークやボトムは株価指数(日経平均など)と必ずしも一致するわけではない。
ただ、新高値銘柄数の多い状態が続くと日経平均株価は上昇が続く傾向が高い。反面、新安値銘柄数の増加が続くと日経平均株価の調整局面入りや調整局面が継続しているなどの傾向がうかがえることから、指数(相場)の方向性の変化と内容を類推することができる。
さらには、新安値銘柄数が極端に増加する局面では、相場の下落が“セリング・クライマックス”になる場面と一致する傾向がよく見受けられ、相場の大底圏を察知する一つのシグナルとして利用価値の高い貴重な指標として位置づけられる。
【備考】 ~NYダウ平均株価について~
【日足参照】~リズムの逆転形成を待つ~
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年初からの騰落リズム(上げ…□、下げ…■)
1月=□■□■□□■□□□□□■■■■■□□□■
2月=□□□□■□■□■■■□■■■■■■■
3月=□■□■■■□■■□■□■□■(20日現在)
2月高値からの目先波動は、29,551ドル~①~②~③~④を経て5波動へ進展している。
3月は一日おきに騰落を繰り返すリズムの下落基調で下値を探る経過となっている。
※下値につては、次項の「月足」に記した。
よって、反動高が直近の値幅1,985ドル(③~④)を上回ると拡大へつながりやすくなる。
その場合の値幅は、2,176ドル、2,544ドル、2,756ドル、3,083ドル、3,295ドル、4,034ドルなどが挙げられる。
水準は、今後示現される安値に加えて求めることになる。また、短期波動のリズムの逆転(上げパターン)が生じ、半値戻し水準への回復および維持する経過をたどることで相場の好転へつながる可能性が高まる。
一旦、心理的に影響を及ぼす大幅な反動(値戻し)が生じてほしいいものだ・・・
【月足参照】
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前回「NYダウ平均株価の下値観測」(記:2020/3/2)として週足チャートを用いていくつかの水準を記した。
しかし、実際には下落の勢いを加速させた。重要な水準21,934ドル=29,551ドル-7,617ドル(07年10月高値14,164ドルから09年安値6,547ドルまでの下げ幅)で踏みとどまることができず20,000ドルの大台を割り込んだ。
今年2月の高値(C)29,551ドルから直近の安値19,173ドル(3/20)までの下げ幅は▲10,378ドルとなった。
よって、現在は下値を探る経過の継続となっている。
その場合、下値は以下の水準が挙げられる。
(1)19,069ドル=B-(C-A)
(2)18,410ドル=(1)と(2)の中値
(3)17,752ドル=29,551ドル-11,799ドル:安値2,365ドル(90年10月)~高値14,164ドル(07年10月)までの上げ幅。
【先人からの一言】
株式投資の一般的スタイルとして、企業業績をベースにこの株式は「割安」銘柄だとして市場へ参入する。
しかし、2月以降の相場のように全体が下落基調に陥ると「割安」銘柄も「割高」銘柄も一緒に下がってしまう現実が存在する。
その場合、解説者は下落した理由を列挙する。
現状では「新型コロナウイルス」がダントツである。そのほか「新型コロナ経済対策」、「N Yダウ」「為替・原油」などが続いているようだ。なかには「AIが主犯だ」とする解説も聞こえてくる。
下げの理由が列挙される一方で、「波乱相場を乗り切る方法」、「今が買いの好機」さらには「短期のシナリオはこうだ!」、「企業の業績が株価の下支えする」、「歴史的な買い場だ」など威勢の良い発言(解説)もあるようだ。
種々の情報が洪水のように日々溢れる中、解説を鵜呑みにする行動は、相場に振り回されるだけでなく解説にも振り回されることになる。
改めて、相場における真の情報とは何か? 本当に必要な情報か単なるノイズかどうか吟味が必要だろう。
要するに「投資家は解説者になってはいけない。マーケット・プレイヤーになろう」と・・・。
まさに、「相場は相場に聞け!」である。
(1)相場の事実確認・・・「行き過ぎもまた相場なり」
(2)常に安全第一を心がける・・・「漁師は時化た海には出ない!」
(3)収穫のタイミングを探る・・・「漁師は潮を見る」
・相場にはリズムがあり固有の周期が存在する。
・いつ売買しても利益になるとは限らない。
・買う場合も売る場合も「時期があり、全体の動きや相場の流れを見る必要がある。
・漁師が気象と潮の流れを見る様に、投資家は相場の潮時を見極め「上昇波」に乗るよう
に普段からの心掛けが必要。潮時(タイミング)を間違うと命取りとなることがある。
相場は「上げたものはやがて必ず下がる」ものであるが、そこには「普遍的」なものが存在していることを肝に銘じておきたいものである。
ゆえに、相場自体が発する“警鐘と警告”を謙虚に受け止める姿勢が大切となろう。
執筆:長森伸行
≪執筆者略歴≫
元山一證券投資情報部次長・国内で「一目均衡表」チヤート分析の第一人者。元日本テクニカルアナリスト協会セミナー講師で「一目均衡表」を担当。証券業会に50年間携わった重鎮、自立して儲けられる投資家のインストラクター的な存在。
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