株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2021-04-24 09:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

Sell in May = 晴れの日は株高、雨の日は株安?

週末版コラムでは、銘柄や相場や経済についての直接的な話ではなく、むしろ、そこから離れたところからの目線で、しかしながら、結局最後は株式投資にもつながるような話もご披露したいと存じます。
かなりくだけた内容ですが、週末版という事でご了承いただき、お付き合いください。

本日は「アノマリー」についてのお話です。

理論的な根拠がないにもかかわらず、実際にしばしば起きやすい現象の事を「アノマリー」と呼びます。
近年、信じる人が多い事で有名になったところでは「相場占星術」などが挙げられましょう。

では、まず、思わず失笑してしまいそうなアノマリーをご紹介しましょう。
「晴れの日は株高、雨の日は株安」笑
これは2000年代の初頭頃から2010年頃までしばしば囁かれていたアノマリーです。
誰が検証したのか、時間軸はどうだったのかは不明ながら、的中率は6割近かったという驚きの検証結果も話題となりました。
過去には新聞に掲載された連続小説の内容が官能的だと株高、などというものまでありました。

一方で「相場格言」として有名であるがゆえに、信者が多いものもあります。
「節分天井・彼岸底」とならび有名なものに、「セルインメイ=Sell in May」があります。
しかしながら、この相場格言がそもそも、どこの国の相場を指して言われるようになったのかを、ご存じの方は意外と少ないようにも思います。
英語なんだから米国?
実際に「セルインメイ」でWeb検索をすると、米国株式市場で生まれた有名な相場格言という解説が目につきます。

「Sell in May and go away, don't come back until St Leger day.」が格言のフルバージョンですが、St Leger dayは英国で9月に行われる競馬レースSt. Leger Stakesを指しますので、そもそもは英国由来です。

そこで皆様に質問です。
毎朝、前日の海外市場の動きをチェックする際、最も重視するのはどこの市場のどの指数ですか?
ダウ?
NASDAQ?
S&P500?
ラッセル2000?
FTSEを一番最初にチェックするという方は決して多くないのではないでしょうか?

「セルインメイ」の過去の「的中率」は概ね、5割を若干下回ると言われております。
ダウにはそこそこ当てはまるとか、S&P500も4割以上の的中率とか、様々な指摘もあるようですが、FTSEに当てはめて検証した例はほとんど見かけません。
しかも的中率は「晴れの日は株高、雨の日は株安」アノマリーをも下回ります。笑

そもそも「相場格言」自体が、単なる「言い伝え」レベルのアノマリーであるわけですが、「格言」という重い表現が独り歩きして、「後付け」的にもっともらしい「言い訳」が用意されているに過ぎないと考えるべきでしょう。
米国の税制度により還付された資金が流入するから5月は高く、信用取引の売り決済が集中したりヘッジファンドの決算売りが集中するから5月以降は安い、という分析も、もっともらしい指摘ながら全て「後付け講釈」の域を出ないと思います。

しかしながら、「セルインメイ」が最近は当たった年は無いという事実の一方で、だから今年も当たらないとも言い切れません。

解釈によっては、「5月になったら売りなさい」とも「5月までの高値であらかじめ売っておきなさい」とも取れますが、
「Sell in May and go away」を信じるのであれば、「and go away」ですから、5月に売り始めるのではなく、5月に手仕舞い売りを完了しておく事が示唆されていると解釈すべきでしょう。
その為には、5月に手仕舞い売りする為に、それ以前で「買い持ち」している事が前提となります。

<4月末に仕込んで仮に5月に売る場合の過去の実績>
アベノミクスの効果発現の2013年以降、日経平均の月足成績は
2013年 〇(5月陰線ですが長い上ヒゲで利食いチャンスは十分にあったものとみなしています)
2014年 〇
2015年 〇
2016年 〇
2017年 〇
2018年 ×
2019年 ×
2020年 〇
成績が芳しくないのはトランプ大統領時代の2018年、2019年ですが、
アベノミクスや2016年の黒田バズーカなど大規模な金融緩和の効果がある時期は総じて好パフォーマンスとなっています。

当たろうが当たるまいが、中長期投資で取り組まれている皆様方には、さほど気に掛ける必要は無いように思います。
むしろ、加藤の分析を参考に取るべきアクションは、「Buy in April to sell in May」、「5月に利食い売りするために4月のうちに買い仕込み」でしょう。



執筆:木村泰章

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