皆様、日々の株式投資へのお取り組み、ご苦労様です。

まず、大量保有報告の「件数」の推移に着目してみましょう。
6月7日付けで提出された大量保有報告（変更届等を含む）は約80件、6月6日付けが約140件と、6月3日の約60件と比較すると報告数が多い事が目を引きます。
大量保有報告（変更届等を含む）は、報告義務が発生した日から5営業日以内に届け出る必要がある為に、5月30日と5月31日に報告義務が発生した事例が多かった事を示していると申し上げて宜しいでしょう。

これは、5月30日にTOPIXの浮動株比率調整に伴う売り買い、5月31日にはMSCIのリバランスに伴う売り買いが、市場に大量に流入し、5月30日はグロース市場の売買代金が4兆3千億円、5月31日には5兆5千億円と大商いだった事が背景として考えられ、機関投資家勢は、インデックスイベントの影響で出来高が増大する事が予測されていた、5月30日と31日の2日間に合わせる形で、通常時よりも多めの売買を進めた、と捉えて宜しいでしょう。

MSCIから除外された22銘柄のうち、J-REITであるオリックス不動産投資法人（8954）を除く21銘柄についての大量保有変更報告は下記のとおりです。
ブラックロックがセオリーどおりに保有比率を落とす一方で、リンナイ（5947）に関してはフィデリティ投信と野村アセットが買い増しを行った点が目を引きます。

◎リンナイ（5947）
・ブラックロック：5.02％⇒3.07％　減少
・フィデリティ投信：5.70％⇒7.43％　増加
・野村アセット：4.80％⇒5.32％　増加
◎ツルハホールディングス（3391）
・ブラックロック：5.48％⇒3.64％　減少
◎綜合警備保障（2331）
・ブラックロック：5.00％⇒3.58％　減少　
◎スタンレー電気（6923）
・ブラックロック：5.10％⇒3.00％　減少　
◎良品計画（7453）
・ブラックロック：5.15％⇒3.63％　減少
・フィデリティ投信：5.49％　新たに5％超の保有
◎ライオン（4912）
・ブラックロック：5.02％⇒3.59％　減少
◎関西ペイント（4613）
・野村證券（含む野村アセット）：5.18％⇒4.96％　減少
・三菱UFJ信託銀行：5.84％⇒4.83％　減少
◎東洋水産（2875）
・ブラックロック：5.49％⇒3.31％　減少
◎参天製薬（4536）
・ブラックロック：6.14％⇒3.98％　減少
◎メディパルホールディングス（7459）
・野村證券：5.03％⇒6.18％　増加

ブラックロックは上記のMSCI除外銘柄を売っただけではなく、一方で下記のような銘柄を買っていた事も明らかになりました。
（目に付いたものだけをピックアップ）
・小野薬品工業（4528）
・大和ハウス工業（1925）
・イビデン（4062）
・東急（9005）

本日は一時28000円に上伸したものの、終値では28000円を維持できなかった日経平均。
終値ベースで27000円台を維持しつつ、大きな売買代金をこなしたのが5月30日と31日でした。
インデックスイベントという特殊事情が背景にあったものの、当面は27000円どころは下値抵抗として盤石なものという印象です。
果たして28000円どころは「通過点」となり上へ向かうのか、逆に、同水準をなかなか上抜けない「頭が重い」展開となるのか、今週の展開からも目が離せないうえに、週末に控えるSQ、来週末に控える米国のウィッチングと、しばらくインデックスイベント絡みの動向に左右されるそうな相場が続きそうです。



執筆：木村泰章