リチウムイオン電池関連銘柄を比べてみました
昨年5月の900円割れから、9月には高値3175円を付けたものの、子会社の韓国市場上場の公開価格が期待水準を下回った事をキッカケに、1週間あまりで1200円割れまで急落。
その後2000円どころに切り返す場面もあったものの、足元では再度1300円を割り込むなど、不安定な株価推移が続いています。
同社が手掛けているのはリチウムイオン電池用の絶縁材。
売上高も時価総額も大きく、リチウムイオン電池関連の代表的な存在と目されています。
業績面では前期(22年12月期)の黒字転換が見込まれており、本決算が発表される予定の2月13日に向け、思惑から株価の上下の値ブレが激しくなる展開も予想されましょう。
売上高及び時価総額といった規模感から、「次点」と目されるのは、スタンダード市場に属する田中化学研究所(4080)。
2次電池正極材料の専業メーカーで、リチウムイオン電池向けが売り上げの90%以上を占めています。
粒子形状制御や結晶制御、コーティングなどのコア技術を駆使して高性能2次電池の正極材料を製造しているメーカーです。
株価は足元で1400円割れからの切り返し局面にあり、21年末に付けた高値2485円への回帰には時間が掛かりそうな印象である一方、業績推移面では期初の今期赤字予想を、昨年10月に一転黒字に上方修正。
こちらも1月27日に3Q決算が発表される予定で、果たして黒字化に向けた進捗が確認できるかが注目されましょう。
もうひとつ。
リチウムイオン電池用正極材料を手掛ける戸田工業(4100)にも注目しています。
基幹事業は顔料・着色材料ですが、他にも温室効果ガスの削減に向けたCO2吸着剤の開発も手掛ける老舗企業です。
同社グループは、海外売上高がおよそ半分の比率となっている為、昨年までのドル高・円安局面では為替差益をも享受できましたが、円高シフトが起こると、その分だけ利益は目減りする恐れがあります。
加えて戸田工業は、プライム市場に属していながら、2021年6月30日の市場移行基準日時点では、流通株式時価総額が82億円と、100億円の適用基準を充たしておりませんでした。
現時点ではこの基準を充たしているものと見られますが、あくまでもギリギリという印象です。
さらには、足元のPBRはちょうど1倍程度と見られ、この点も、上場基準に抵触するものではないにせよ、今後、東証から改善対応を迫られる可能性アリとみます。
これら3社は、いずれも、原材料価格の高騰や、原油及び石炭をはじめとするエネルギー価格の高騰による製造コストの増大が懸念材料と目され、かつ、3社とも財務面では有利子負債の負担が大きく、株価推移もなかなか方向感が定まりません。
敢えて1社に絞るとすれば、リチウムイオン電池関連以外にも、ビジネス領域が広い戸田工業の「安定性」か、
むしろ、戸田工業よりもプライム市場銘柄的なスペックを持っている田中化研の「成長性」か、
いずれかを投資対象として選択する事が「妥当」と見ます。
執筆:木村泰章
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単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のラスト七福神銘柄(****)≫
決算発表内容は想定どおりと見ており、今後も水準訂正的な買いが継続的に流入するものと見ています。
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