究極の突っ込み買い⇒でも収益化は何年も先
株式交換方式でベアー・スターンズ株1株当たり2ドルで、総額約2億3600万ドルの「救済買収」を行う事が明らかにされました。
FRBが最大300億ドルの資金を供給して、買収による経営再建計画を大きく後押しするという、「政府介入型」での破綻処理でした。
サブプライム危機が深刻化するなかで、ベアー・スターンズ株の3月14日の終値は前日比46%の大幅安となり30.85ドル。
それでも時価総額は約35億ドルでした。
「株式交換方式」と上述したとおり、JPモルガンによる買収が完了した際に、ベアー・スターンズ株を保有していた投資家は、ベアー・スターンズ株1株につき、JPモルガン株0.21753株(約9.35ドル相当)を受け取る事になります。
当初の交換比率は、ベアー・スターンズ株1株につき、JPモルガン株0.05473株でしたが、ベアー・スターンズの株主から評価が低すぎるとの批判が出た結果、
当初のベアー・スターンズ株1株あたり2ドルだった買収価格を、1株あたり10ドルまで引き上げる事で最終合意した為です。
JPモルガン株の2008年の安値は19.69ドルで、翌年の安値は14.96ドルだったものの、その後は大きく切り返し、2022年の高値は172.96ドル。
JPモルガンはベアー・スターンズの人材の一部を引き継ぎ、法人やヘッジファンド向けを中心に、投資銀行業務やトレーディング業務を拡大した事から、後になって、この「救済買収」は、投資成果としても大きかったと評価される一方、同時に、ベアー・スターンズをはじめ、投資銀行の企業価値算定方法が疑問視される潮流をも産みました。
米国のシリコンバレーバンクやシグネチャーバンクの破綻、ファースト・リパブリックの救済に関して、今回JPモルガンは、「単独での救済買収」を繰り返したくない、との発言をしている模様です。
他方、ほぼ同時期に表面化した、クレディ・スイスの経営懸念はスイス金融当局が関与する形で、UBSによる買収という「スピード解決」が図られた一方、通常は銀行が破綻した場合には、株式が無価値になり、AT1債には価値が残るのに対し、今回の破綻処理では株主が救われ、AT1債の保有者の資産がゼロとなった事が大きな波紋を呼んでいます。
AT1債を保有する投資家が控訴を起こす事は必至と見られ、ブルームバーグの報道によると、無価値になった170億ドル(約2兆2000億円)相当のAT1債を巡り想定される法廷闘争を、収益機会になり得ると判断したヘッジファンド等が、こぞって「請求権」を買い集めている事を指摘しています。
実は弊社内では、3月17日の朝、私が、ある大手海外投資家のトレーディング部門に直接ヒアリングした話を、社内限として共有していました。
信用・金融不安を煽りながらショートを仕掛けて、安価で「救済買収」のタイミングで「どてん買い越し」とするのは未だにヘッジファンドの「お家芸」との印象で、いわゆる「ハゲタカファンド」は虎視眈々と収益機会を狙っており、「官」にしろ「民」にしろ「官民MIX」にしろ、
必ずや「救済者的買い手」が現れて、今回の金融不安は「早めに」収束に向かうだろう、という内容でした。
ゆえに弊社は、今回の金融不安ショックは、リーマンショック級の「ドミノ倒し」には発展しない、という見解を、会員様各位にいち早くお伝えしてきた次第です。
さて、上記のような事例から、何を申し上げたいのかというと、究極の「突っ込み買い」とも言うべき、ハゲタカファンド勢によるクレディスイスのAT1債請求権の「買い漁り」も、収益化するのは法廷闘争を経た何年も先の事である、という点です。
株式交換によりJPモルガン株を入手したベアー・スターンズ株保有投資家が、収支を「トントン」にするまでには、およそ11年の歳月がかかった事も広く知られています。
「投資効率」を重視せざるを得ない「少額投資家」にとって、かつ、短期での収益獲得こそを好む傾向が強い個人投資家にとって、「突っ込み買い」時の「リターン」は、特に収益化までの時間軸面において、往々にして期待通りにならない、という点こそをご認識いただく必要がありましょう。
「なかなか株価が上がらない」とご心配なさるお気持ちはお察し致しますが、会員様各位が保有なされている銘柄群は、おそらく買い付けから5年未満のものが圧倒的に多いのではないか、と推察しております。
日々の値動きに惑わされるのではなく、少なくとも1年、場合によっては3年以上継続保有して、「投資シナリオ」が実現する事こそを「待つ」というスタンスが、株式投資の根本姿勢であり、醍醐味であると申し上げても宜しいかもしれません。
2014年の1月6日の株価の始値が1815円だったソニーGの株価は、ジャスト8年後にあたる2022年の1月5日に15725円の高値を付けました。
2014年の2月4日の安値1514円から株価はおよそ8年で10倍になった事になります。
おそらく私だったら、1815円でソニー株を買ったとしても、1600円まで下落してしまった時点で「見切り売り」をしてしまったはずで、その後2000円でもう一度買い直したと仮定しても、おそらく2014年12月の大納会時に、2400円台の後半で売却していた事でしょう。
短期目線に偏ってしまいがちな自身への戒めのつもりで、ソニーの月足チャートをことある毎に取り出しては眺めています。
株式投資における保有期間が長引けば、それに比例して不安感が増大する、という心理面との「綱引き」に勝たないと、結局のところ、大きな投資成果は得られないのでしょうね。。。
執筆:木村泰章
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個人的に注目している銘柄
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◆メンバーズ(2130)
◆JCU(4975)
◆大平洋金属(5541)
◆オークネット(3964)
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私のコラムで紹介した銘柄
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◆ゴールドウイン(8111)
昨年11月の終盤にご紹介した際の株価は1万円以下。
本日は一時昨年来の高値を更新し、12600円台に上伸してきました。
日足チャート上では再度上昇トレンドが形成されそうです。
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単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のSSS級銘柄(****)≫
待ってました!の切り返し。
フォローメールを配信しましたのでご参照ください。
ここからの「逆襲」に期待致しましょう。
◆≪木村泰章のザ・カリナンダイヤ銘柄(****)≫
今週の大幅上昇を経ても株価は崩れません。
来週以降は買い増し・買い直しのタイミングやポイントを探ってまいりましょう。
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