株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2023-08-02 15:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

最低賃金のお話

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4.3%)引き上げて1002円とする目安をまとめました。
過去最大の引き上げ額となり、政府目標でもあった1000円を超えました。
昨今の物価高で家計が厳しくなっていることを重視した形です。

これを参考に各都道府県が実際の引き上げ額を決め、10月をメドに改定が行われます。
現在は最も高い東京都が1072円ですが、10月以降は41円引き上げられて1113円となる事が推察されます。

とはいえ、海外の先進国と比べ、日本の最低賃金(時給)の低さは際立っており、円安も進んでいるため、円換算で見ると日本の最低賃金は英独仏といった主要先進国だけでなく、韓国よりも低く、豪州と比べると2分の1以下になっています。
物価の違いがある事に加え、他国の方が賃金引き上げ率が日本より大きい為です。
日本の最低賃金は20年前は韓国の2倍超でしたが、現在では961円(全国加重平均)と1割ほど下回っている状態です。
豪州も昨夏に5.2%引き上げられ、21.38豪ドル(約2040円)となっています。

米国では、連邦政府レベルの最低賃金は7.25ドル(約1050円)ながら、各州や市などが独自の最低賃金を設定しており、働き手にとって最も高い水準の最低賃金が適用される仕組みとなっています。
サンフランシスコ市は、7月1日より、最低賃金を18.07ドル(約2600円)に引き上げました。
https://sf.gov/sites/default/files/2022-09/minimum%20wage%20poster%202022.pdf

ニューヨーク市では米国で初めて、フードデリバリーサービスの配達員に特化した最低賃金が設定されました。
NY市配達員の平均時給は現在7.09ドルと目されていますが、最低賃金は7月12日から時給17.96ドルとなり、今後も段階的に引き上げられ、2025年4月1日には19.96ドルとする方針が示されています。

日本の賃金が上がらない理由は「構造問題」と言われ、たとえば法律等で規制したり緩和したりすれば解消するようなものでなく、事実上、抜本的な改善策は無いと目されています。
自国経済が成長⇒企業収益が拡大⇒労働者の賃金上昇というのが、一般的な賃金上昇のロジックですが、日本の特徴として、生産性の低い中小企業がなかなか淘汰されず、存続し続ける事が社会構造上の弱点という指摘が多い印象です。
赤字で事業を継続するのがやっとという中小企業が、満足な賃上げに踏み切れるわけも無く、賃金水準を上げるには、思い切った「淘汰」も含む中小企業の構造改革が必須で、中小企業・非正規労働者・女性労働者の低賃金という構造問題の解決が不可欠となりましょう。

悩ましいですね。
「淘汰」に代わる中小企業の「切り札」的活路は、やはり「M&A」ではなかろうか、と個人的には考えています。
高齢化の進む日本では事業の後継者問題も従前から指摘されており、こうした問題もM&Aという「意識改革」によってクリアできるのではないでしょうか?

「競争」するほどの体力や生産性や創造力が、現在の日本の中小企業には残っていないのならば、今現在は「共存共栄」こそを模索すべきステージであるよう思いますし、新進系のスタートアップ企業群が、同じようなスタートアップ企業との「連携」姿勢を強めているのは、むしろ、未来につながる喜ばしい傾向だと思う次第です。

M&Aを経て「基礎体力」を増大させ、国内だけでは無く海外展開をも視野に、日本人こそが従来得意としてきたハズのスモールビジネス的・ブチック的なマインドセットを持ってビジネス展開すれば、半世紀後には、MBOやスピンオフを経て再度「独立」する事も可能でありましょう。

賃金が安いから働かない⇒安い賃金でも働きたい外国人労働者の起用が増える⇒仕事に就きたくても選択肢が縮小する
という負のスパイラルに陥らない為にも、中小企業は大同合併的にその規模を拡大して、賃金を上昇させる事を目指してもらいたいように思います。
ただでさえ減少が続く、日本国内の若い世代の労働力が、より良い給与環境を求めて海外に流出したりすれば、日本は先進国どころか「第3世界」に転落してしまう恐れさえあるのですから。。。



執筆:木村泰章


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 個人的に注目している銘柄
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◆日本M&AセンターHD(2127)
◆M&Aキャピタルパートナーズ(6080)
◆ストライク(6196)
◆M&A総研HD(9552)
これらM&A関連企業の株価が上昇するような日本であって欲しいと思います。

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 私のコラムで紹介した銘柄
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◆太平洋セメント(5233)
5月の半ばに2500円どころでご紹介しました。
本日の株価は一時3000円台に進み昨年来の高値を更新。
今期経常は55倍増益計画なので、8月8日の1Q決算発表も楽しみです。

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 単発スポット銘柄の見解
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◆≪社長大石のキングメソッド銘柄≫
ナイスなスタート。
ゆっくり目の打診買いでOKですが、今週中には打診買いを完了するスタンスでまいりましょう。

◆≪木村泰章のSSS級銘柄≫
買い目線には賛成ですが、タイミング的には早計と見ます。
株価が切り返しに転じるタイミング以降で、買い増しご提言のフォローメールを配信させていただく予定です。

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