大平洋金属（5541）※決算発表予定日 2024/02/09

鉄・ステンレス合金のフェロニッケルを精錬。同社のＩＲ資料によると、原料となるＬＭＥニッケル価格は下落。在庫も減少しているが、在庫量に関しては業者の戦略的な抑制の影響が大きいと見られる。同社も、販売数量の抑制の方針とのことである（２０２４年３月期　第２四半期決算発表資料）。主な需要先である中国の景気減速感から原料の仕入れ価格は低下基調が続くと思われ、戦略的販売抑制によりマージンの拡大が見込まれる。また、旧村上ファンド系の物言う株主（アクティビスト）である「シティインデックスイレブンス」の保有割合は５％を超えた（１月２５日受付の大量保有報告書による）。業績向上および資本政策の実施による株高に期待だ。

今期の営業損益は約８６億円の赤字と前期のおよそ１２５億円の赤字から改善する見通し。先述した販売数量抑制の効果を見込んでいるのであろう。事業環境は厳しいものの、今期をボトムと想定し、来期以降の収益改善・黒字化に期待したい。在庫は減少に向かうため、原料価格低下による棚卸評価損益は縮小に向かうと思われる。相対的に投資家が重視するＰＢＲの上昇が期待できるうえ、足元の０．４倍（執筆時）から１倍に向けての、アクティビストによる動きにも期待したいところ。

株価は安値圏を推移していたが、１８日の安値１１４３円を底に急伸。保有有価証券の売却や、冒頭に記述したアクティビストの保有割合が５％以上と判明したことによる思惑買いが先行したものと考えられる。一目均衡表では抵抗帯（雲）を突破し、転換線と基準線は同値。「三役好転」示現の前夜と見られ、下値が安定したタイミングでエントリーしてみるのも良いだろう。ただ、短期・投機筋のマネーが大量に流入していると考えられ、短期的な株価の乱高下は避けられそうになさそうである。