北興化学工業（4992）

旧野村財閥系の化学メーカー。有機合成反応技術「グリニャール反応」が強み。これは稲の病害「いもち病」に高い効果が期待でき、農薬として販売を開始したことが同社の基盤となっているようだ。その後、農薬事業とファインケミカル事業の二つ柱でビジネスを展開。「グリニャール反応」を応用した「グリニャール試薬」は半導体製造分野においても活用され、同試薬のカップリング反応からは同分野の域にとらわれず工業スケールで今後も様々な分野での応用が可能となろう。

化学株の御多分に漏れずバリュエーションはPBR0.7倍（執筆時）とバリュー（割安）感がある。業績は前期本決算における経常益が54億7400万円、今通期の同益予想値は51億円と減益が見込まれている。しかしながら、アナリストコンセンサスは55億円と前期実績をわずかに上回る予想で、恐らく半導体製造分野の成長期待感を織り込んでいるのであろう。xenoBrain（AI）によると、短期的な同損益（第一四半期単体）は黒字化の予想。

季節性要因にくわえ、『加工食品価格』『トマト利用』『水産物価格』関連などのニュース数から同AIは利益額を算出しており非常に興味深い。特に利益に関連性のある文言は『農林水産物輸出』。福島原発における処理水の科学的な根拠が中国に認知されてくれば、AI予想は今後さらに上振れてくる可能性がある。直近の株価はマドを開け急伸。大陰線の押し目を形成した後は「高値ブレイク」となっており、目先は心理的な節目の1300～1400円がターゲットとして意識されよう。