新年スペシャルコラム:変化を怖れず、チャンスと捉えよう Part2/2
日経平均のような、主力級大型株群を中心に構成されている「株価指標」は、中小企業の業績推移や、景況感が大きく影響する個人消費等の「家計」をも含めた、「日本経済全般」のバロメーターではありません。
コロナ前の2019年の実質GDPを100とすると、今年7月-9月期の実質GDPは101でほとんど変わっていません。
つまり、「日本経済」は「停滞」しており、「成長」には程遠い状況にあると認識すべきでありましょう。
一方で、2019年の日経平均の年間平均は22,000円でした。
それが、今年の7月には42,426.77円まで上昇したのです。
経済成長していないのに、株価指標は大幅に上昇しているのですから、もはや、株価が景気や経済のバロメーターとしてワーク(機能)しているとは言えないように思います。
「日本経済」が成長していないのだから、「日本企業」も成長していないのかというと、実はそうではありません。
「日本企業」の改革意識が足りないから、「日本経済」が成長しないという考え方は間違いで、「日本企業」の改革は着々と進んでいるけれど、そもそも、そうした企業努力そのものが、「日本経済」の構成要因なのではなくなりつつあるように思います。
成長しない「日本経済」に足を引っ張られないように、「日本企業」は過去20年ほどにわたり、日本国内では合理化や再編を進め、海外展開を強化し、「日本経済」が成長しなくても「日本企業」は利益成長できるような体質へと変化/進化してきたたのです。
「市場参加者」の最も大きな主体が外国投資家である事から、「日本企業」は是が非でも株主目線を意識するようになり、開示情報の多様化やコーポレートガバナンスを積極的に推し進めてきました。
併せて、個人投資家層が増加した事により、株主還元についても善処する企業が増えつつあります。
つまり、「日本企業」はキッチリ「成長」していると言えましょう。
「日本経済」の主役はもはや、「日本企業」では無く、個人消費となりつつあるのかもしれません。
「日本企業」は進化しているからこそ、株価や株価指標は上がるけれど、「日本経済」は停滞しているから実質GDPは上がらず、景況感も改善せず経済成長も無いわけです。
となれば、景況感の改善を企業努力だのみとするのはお門違いで、むしろ、個人個人が「経済の主役」としての自覚をもって、経済活動に積極的に参加する事が求められるように思います。
インフレを嘆くのでは無く、インフレによるおカネの価値の目減りをカバーすべく投資行動を取り、「天下の回り物」であるハズのおカネを使って積極的に消費行動に参加しようではありませんか。
そうした、個人、個人投資家の自発的な行動こそが、「日本経済」の活性化につながって、おカネが回り回って会員様各位に利益をもたらすものと考えます。
「変化を怖れず、チャンスと捉える」事は、まず、個人投資家層こそが、「経済活動の主役」との「自覚」を持つ事から始まるものと考えます。
まずは己の意識を変える。
年の初めに、私自身もそんな自己改革に挑みたい、と考える次第です。
執筆:木村泰章
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