米国の関税政策が二転三転する可能性が指摘され、相変わらず不確実性の大きさが、米国だけで無く日本の株式市場にも影を落としています。

いわゆる「カントリーリスク」とは元来、国や地域の経済情勢などの不安定要因を指す事が一般的で、特に紛争・戦争等の地政学上のリスクや、クーデター等で政府転覆の可能性があったり、国として財政破綻のリスクが指摘されるなどが、「カントリーリスク」として認識されてきました。

関税を引き上げられた、中国も、カナダも、メキシコも、直ぐに「報復」の姿勢を示していますが、そこまでの強硬姿勢を取らない、取れない、と目されるのが日本です。
良い意味で、米国の意向に忠実に従うハズで、強硬に日本独自の持論を振りかざす可能性は無いものと考えます。

では、「究極の選択」です。

会員様各位は、例えば香港や台湾のように、中国が日本を実行支配するのと、米国の州のひとつとして米国に併合されるのと、2つしか選択肢が無かったら、どちらの方が日本の将来にとって有益だとお考えでしょうか？
もちろん、独立先進国として現在の立場を成長させる事こそが最も喜ばしいものの、その選択肢は無いものとの仮定です。

人種、文化、宗教、歴史といった背景的には、中国との相関性の方が高いかもしれませんが、政治、経済、資本主義といった背景的には米国寄りと申し上げても宜しいでしょう。

トランプ大統領が、同じ「地続き」のカナダとメキシコに関して、カナダには米国のひとつの州としての併合にまで言及したのは、「暴言」である事は間違いないものの、背景面的には決して根拠無しの「妄想」だとは思いません。（個人の意見です）
一方、メキシコは「併合」するメリットが無いと判断しているから、もしくはデメリットの方が大きいから、「併合」を持ちかける可能性はゼロ、という点も合理的だと思います。

注目すべき点は、それほどの「暴言」を口にするほど、トランプ大統領は「アメリカファースト」に政治生命を賭けている、という点でありましょう。

自動車大手のホンダは先週、アメリカ市場の主力車「シビック」の次世代モデルの生産拠点を、当初予定していたメキシコから米国内のインディアナ州の工場へ変更する意向を示しました。
さすがホンダ、さすが日本です。

米国とケンカしてもビジネス的にはなんらメリットが無い事を、日本は良く理解しているんですよね。
だからこそ、日本への投資こそが一番「安全」である事に、疑問の余地は無いように思います。

トランプ大統領も、そこはとっくにお見通しなハズ。
では、日本政府に求められるのは、もはや、トランプ大統領に対する「お友達アピール」ではありません。
ホンダの例を挙げて、米国に他の関税面の「譲歩」を引き出し、米国以外の国に対して、投資対象としての日本の「安全/安定」面こそアピールしていただきたいと思います。



執筆：木村泰章

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