ヤマハ発動機（7272）

同社は、二輪車やマリン製品で知られる一方、近年はロボティクス事業にも注力している。​

同社のロボティクス事業は、表面実装機（SMT）、産業用ロボット（FA）、半導体後工程装置（SEMI）の3つの分野で構成されており、​特に、半導体後工程装置では、半導体チップを最終製品に仕上げる為に不可欠な装置である、ダイボンダ、ワイヤボンダ、フリップチップボンダなどの装置を製造・販売している。

加えて、ヤマハロボティクスホールディングス（YRH）を通じて、半導体後工程装置の分野での事業拡大を進めている。​
YRHは、2019年にヤマハ発動機、新川、アピックヤマダの3社が事業統合して誕生したが、ヤマハ発動機は25年7月1日付で、これら傘下の半導体製造装置会社を統合し、商号を「ヤマハロボティクス株式会社」に変更する計画だ。
25年からの3か年の中期経営計画において、ロボティクス事業を二輪車やマリン事業に次ぐ戦略事業と位置づけ、後工程向けの設備投資を2.2倍に増やす方針を示している。

これらの取り組みにより、半導体製造装置や産業用ロボットの分野での同社の存在感が高まるものと想定され、株価にも好影響を与えうる要因と見なされよう。
足元でのロボティクス事業の売上構成比率は4％に過ぎないが、成長余地は大きいものと見る。

24年12月期の連結最終利益は前の期比31.8％減の1080億円に落ち込んだが、今期は前期比29.5％増の1400億円にV字回復する見通しだ。
業績V字回復の原動力として、同社のロボティクス事業に注目すると共に、底値圏にある株価の切り返しに期待したい。

一方、同社の主要製品群は、景気の動向に大きく影響されやすく、世界的な景気後退や消費低迷等を、リスクシナリオとして注視する必要があろう。