高市新首相が誕生し、国内株式市場は、初動として歓迎ムードに包まれそうです。積極財政と金融緩和を志向する高市氏の政策期待が市場心理を支えているため、短期的には日経平均4万7000円台を目指す動きが見込まれます。ただし、この上昇基調の中で利益確定の動きも活発化することが予想され、相場はまだまだ不安定な局面であることを留意すべきでしょう。


【ポジション整理で市場変動に備える】

市場が大きく揺れる局面では、利益確定は重要な戦略です。特に評価損を抱えている銘柄への対応がカギとなります。利食いができた場合は、評価損がある銘柄と併せてポジション整理、いわゆる併せ切りを実行し、資産の再配置を丁寧に進めていくことが望ましいと考えます。相場の揺れを耐え凌ぎ、中長期の成長に備えるためには、一旦の調整を恐れず合理的な投資判断を重ねることが肝要です。


【トランプ相場の影響は忘れずに】

楽観ムードの中でつい忘れがちなポイントは、現在の相場はトランプ政権下での「トランプ相場」であるという事実です。関税政策の影響が中間決算期に入る今、企業業績の実態と市場期待の間に乖離が生じやすい局面が想定されます。特に米中通商環境の変動は、多くの輸出企業にコスト負担や収益圧迫をもたらし、業績に反映されることが予想されます。こうした不確実性は投資判断に慎重さを求める材料となり得ます。


【業績相場への移行を見据える】

高市氏の首相就任を契機としたイベント相場はそろそろ一段落しつつあります。今後は企業の中間決算が相場の重要な焦点となり、本格的な業績相場へと移行していく局面と見られます。堅調な業績を示す企業には引き続き資金が集まりやすくなる一方で、関税の実績影響が顕在化する銘柄は慎重な見極めが必要です。短期的な政治イベントに惑わされず、企業のファンダメンタルズを冷静に分析し、業績期待を中心に投資機会を探ることが求められます。


【まとめ】

現状の国内株式市場は、新首相の積極策への期待から一時的に強気ムードが広がっていますが、利益確定のタイミングを見極めたポジション整理と、トランプ相場の不透明要因を忘れない慎重さが重要です。これから本格化する中間決算を丁寧にフォローしながら、イベント相場から業績相場への移行局面に備えた分散と柔軟な戦略を心がけたいところです。相場の波は穏やかなものだけではありませんが、冷静な判断と着実な資産運用が投資成果を支えることになるでしょう。日々の投資活動に豊かな視座をもって臨まれることをお勧めいたします。