イートアンドホールディングス（2882）

「大阪王将」ブランドを中心とする外食チェーン運営と冷凍食品製造・販売を2軸に展開する会社だ。外食部門では既存店売上やセントラルキッチン方式の効率性が競争力、食品部門では冷凍調理食品や中華系惣菜のOEM供給もこなしており、チェーン展開と工場生産の2つの現場を持つハイブリッドな体質が特徴。出店戦略と既存店改善で成長を目指すフェーズにある。ちなみにCEOの文野氏は「マネーの虎」というTV番組の「虎」であった。

イートアンドHDの中間決算は、一言でいえば「成長と負担が同居した季節」。売上は199億円と過去最高のペースを刻みながらも、原材料の高騰と新工場・海外展開への先行コストが利益を圧迫した。営業利益は5億円台へ後退、純利益は2億円強にとどまったが、これは“守り”ではなく“次の打席に備える準備期間”だ。食品事業はキャベツ高騰の逆風を受けつつも、冷凍餃子の販売量を拡大。関東第一工場の完全復旧で安定供給に弾みがついた。外食事業では「大阪王将」の新モデル店舗が好調で、調理ロボの導入やセントラルキッチン活用で生産性改革が進む。通期計画は売上400億円、営業利益12億円を据え置き。上期はコストをのみ込み、下期で成果を刈り取る“育ての半年”となった。

株価は現在2000円前後。業績こそ一時的な減益となったが、マーケットはそれを「仕込み期間」と読み替えている。材料高の山を越えつつあり、来期の利益反転を織り込む動きも見え始めた。株価チャートでは7月以降ゆるやかな下り坂を描くものの、下値では個人投資家の買い支えが入りやすい。PERは30倍台とやや高めだが、冷凍食品の市場拡大と海外事業の伸びを考えれば過熱とは言い切れない。むしろ、同社が“外食と食品の架け橋”として成長を続ける限り、プレミアム評価は自然な流れだ。食品株のなかではボラティリティが低く、長期保有向き。