株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-10-01 15:00:00

米株くらぶ

税制改革法案の公表が追い風に 〜グロース株2強のテスラ、エヌビディア

9月25日週明けの米株式市場は、前半は前週のFOMCの段階的な資産圧縮計画開始を好意的に受け止めた小幅高での続伸から一旦調整する形で始まった。26日、イエレンFRB議長が講演で「インフレ2%達成まで政策を据え置くことは賢明ではない」と利上げを容認する発言をしたことが嫌気され、ダウは26日の時点で4日続落した。債券市場も売られ、米10年債利回りは前日比+0.07%の2.237%で引けた。

翌27日、トランプ米政権は現行35%の法人税率を20%に引き下げる大型減税の税制改革案を発表。株式市場は好感し、ダウは前日比+0.25%と5日振りに反発、ナスダック+1.15%、S&P+0.41%と指数は小幅高となった。個別では22日に発売したアイフォーン8の出足不調懸念やアイフォーン・テンの発表による材料出尽し感で高値から低迷していたアップルが買い戻され2日続伸した。半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーは26日引け後発表の6〜8月決算で91%増収、純損益が黒字転換し、27日は前日比+8.5%の大幅高となった。

債券市場は27日には続落し、10年債利回りは引けが前日比+0.07%の2.306%に上昇した。米金利高の流れを受け、ドル円は28日の東京市場で113円台を付けて強含み、日経平均にプラス材料となっている。

あすなろでは政治リスクからの短期的な調整に注意しつつも経済成長を見込んだ株高が続くことを予想している。10月から第3四半期(7〜9月期)の決算発表シーズンが始まる。発表前に結果の良さそうな銘柄を今からチェックしておくこともオススメである。今週はこれから決算発表を控えるグロース株2強を紹介する。

1.テスラ(TSLA)[NASDAQ]


 
 テスラはカリフォルニア州パロアルトに本社のある米国の電気自動車メーカー。電気自動車と関連製品の開発・製造・販売に従事。充電・蓄電の電力システムも製造。同社初の電気自動車はスポーツカーの「ロードスター」、続いてセダンの「モデルS」、SUVの「モデルX」、新型セダンの「モデル3」を展開する。地域別売上は米国が約50%。

 9/26に米証券会社大手が強気なコメントを発表。7月から生産開始した「モデル3」投入により2018年には販売台数が8割増の53万台、2019年には3倍強と大きく増加し、業容拡大に貢献するとの見方。8/2の4〜6月期決算発表では、売上高が前年同期の2倍以上の2,790百万ドル、純損失は▲336百万ドルで、前年同期の▲293百万ドルから赤字拡大。調整済のEPSは基本、希薄化後ともに▲1.33ドル。ただし、売上高とEPSは市場予想を上回った。同社も「モデル3」開発が一段落したので、今後は利益が改善することを見込んでいる。

 
2.エヌビディア(NVDA) [NASDAQ]



エヌビディアはカリフォルニア州に本拠を置くグラフィック半導体大手。PC向けグラフィックプロセッサ「GeForce」とメモリ製品を販売する。そのほかワークステーション向け「Quadro」、高性能コンピュータ向け「Tesla」や「3DVision」、モバイル通信向けに「Tegra」を展開。

同社は次世代コンピューティングといわれ、ロボットや自動運転に必須とされるAIの分野に積極投資を進める。トヨタ(7203)も次世代自動運転車向けに同社の「DRIVE PX」を採用している。インテルやグーグル、AMDなど競合も参入するなかで、省電力をうたい、技術優位を確保しているとして、業容拡大に強気なアナリストが多い。

 株価は175.73ドル、(前日比+2.19%)(現地9/27引け)。8/10の5〜7月期決算発表では、売上高が前年同期比56%増の2,230百万ドル、純利益は123%増の583百万ドル。基本EPSは0.98ドル、希薄化後EPSは0.92ドル(前年同期の0.49ドル、0.41ドルから上昇)。


<米国株豆知識その13>
米税制改革とは?
 約30年振りの米国の法人税制改革は、トランプ大統領が政権公約に掲げたことで株式市場が買われてきた背景の一つである。3%経済成長、雇用促進を実現するための税制改革の実行が試されている。27日公表案では、トランプ大統領は当初掲げていた15%税率を議会と調整し、20%で決着した。

 また、これまで米企業が海外で稼いだ所得について米国への利益還流時に35%の税が課せられていたが、既存留保資金に1回限り課税するとし、課税を撤廃した。現在課税逃れで2.6兆ドルの利益が海外に滞留したままであるが、これが米国に戻って設備投資などの資金に活用できるようにした。

 ほかには、中小企業の課税率を現行39.6%から最大25%に引き下げるとし、また、個人所得税も最高税率を39.6%から35%に引き下げ、中間層の所得控除を増やすように見直すという。

 今後は赤字が拡大するなかでの財政確保と議会審議の進捗が課題となる。共和党は当初税収減少を穴埋めするため、輸出課税免除の代わりに輸入課税を強化する「国境調整税」の導入を計画していた。しかし、米国に製品輸出する海外企業の負担増が憂慮され、輸入品の値上げを懸念する小売業界の猛反発にあって6月の時点で見送りとなった。

 政府は赤字拡大に歯止めをかけるべく2018年度(17年10月〜18年9月)の予算教書で今後10年間での3.6兆ドルの歳出削減をうたっている。しかし低所得者層への歳出カットにつながるとして医療保険制度改革法(オバマケア)の成立も危ぶまれているなか、実現性を疑う声も多い。与党共和党も減税派と財政健全派とに分かれ、政治リスクとなっている。

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