株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

(一社) 人工知能学会:18801(公社)日本証券アナリスト協会:01159

あすなろ投資顧問

2017-11-05 09:00:00

米株くらぶ

FRB議長人事決定迫る 〜バイオ医薬品その2:イグザクト・サイエンシズ、マクロジェニクス

10月最終週の米株式市場はFRB人事決定と11月3日の雇用統計発表を控え、上値が重く様子見の展開となっている。週明けに利益確定売りに押された主要3指数は31日には反発。1日にはダウとS&P500は小幅続伸、ナスダックは小幅反落した。2日発表予定のFRB議長人事は共和党寄りでハト派とみられるパウエル氏が指名される公算が高まっている。

 27日発表の7〜9月期のGDP成長率(前期比年率)は、ハリケーン被害が警戒されていたものの2四半期連続で3%台となり、トランプ政権の掲げる「持続的な3%成長」に一歩近づいた感がある。30 日発表の9月の個人消費支出(PCE)は自動車買い替え需要が効いて前月比1.0%と高い伸び率となり、FRBがインフレ目標にするPCE物価指数上昇率もガソリン価格上昇から前年同期比で1.6%増と堅調だった。
これから話題に上る年末商戦は3.6〜4.0%増と堅調な伸びが見込まれている。

 個別で目立ったのは31日に通信半導体大手のクアルコムが来週秋に市場投入する製品にクアルコム製の部品搭載を一部中止するとの報道を受け7%下落。1日発表のフェイスブックのQ3決算は広告収入の49%増に支えられ、売上高が47%増、純利益79%増と過去最高を記録した。同日発表の電気自動車のテスラは生産縮小から四半期ベースで過去最大となる純損失を計上。先週末に「モデル3」の生産懸念からアナリストが投資判断を引き下げており、下押し圧力が強い。

債券市場は今週に入り、利回りはこう着状態。10年債利回りは先週付けた2.4%台から一服し、2.3%台後半で推移している。また、ドル円は114円台を挟んでもみ合いとなっているが、米金利上昇から年末までジリジリとドル高が進むとみられており、日本の株式市場にはプラスの展開だ。

あすなろでは経済回復を受けた穏やかな金利上昇の環境に変化のないなか、良好なQ3決算発表をもとに株高が続くことを予想している。先週続いた決算発表をもとに、バイオ関連銘柄第2弾として小型2銘柄を紹介したい。
 
1. イグザクト・サイエンシズ(EXAS)[NASDAQ]


 
  イグザクト・サイエンシズは米国の癌検出製品メーカー。大腸癌および前癌状態の早期発見と予防に焦点を当て、非侵襲性スクリーニングテスト製品を開発。排便からDNAを検出し大腸癌に関わる遺伝子から癌を見つけ出す検査キット「コロガード」を提供。同製品は前癌病変やポリープ、および大腸癌の4段階の進行度を検出する。
 
10/30のQ3(7〜9月期)決算発表から大腸ガンの検査キット「コロガード」の好調が確認された。同検査キットは業界スタンダードになりつつありため、今後臨床テストのコスト抑制につながるとみられている。

株価は53.01ドル、(前日比-3.60%)(現地11/1引け)。Q3(7〜9月期)決算は、売上高が前年同期比158%増の72.6百万ドル、純損失は26.9百万ドル。希薄化後EPSは▲0.23ドルで前年同期から回復。決算発表時に通期の売上見通しを引き上げた。

2. マクロジェニクス(MGNX)[NASDAQ]



マクロジェニクスは米国のバイオ医薬品企業。癌や自己免疫疾患の治療薬としてモノクローナル抗体の開発を手掛ける。乳癌、食道癌、膀胱癌の治療薬Margetuximab、黒色腫、膠芽細胞腫、前立腺癌、乳癌などの治療薬MGA271や、血液癌の治療薬MGD006、結腸直腸癌の治療薬MGD007、1型糖尿病治療薬Teplizumabの開発を行う。

 8/31にジャンセン・バイオテック社とのライセンス契約の打ち切りを発表し、マクロジェニクスの株価は下落した。その後10/25には同社が開発する抗がん剤MGA012に関しインサイト社(INCY)との提携が報じられ(インサイトがMGA012の販売権を受領、マクロジェニクスは将来の販売に24%のロイヤルティを課すという内容)、株価の上昇につながった。現地11/8引け後Q3決算発表予定。

  株価は19.34ドル、(前日比-2.27%)(現地11/1引け)。8/2発表のQ2(4〜6月)決算は売上高が1.7百万ドル、純損失は40.7百万ドル、希薄化後EPSは▲1.14ドル(前年同期は一時的なMGD015のライセンス契約手数料を含むためQ2との比較困難)。 

<米国株豆知識その18>
明暗分けたバイオ医薬品決算発表
先週はバイオジェン(BIIB)、アムジェン(AMGN)、ギリアド(GILD)、セルジーン(CELG)といった大型バイオ医薬品企業の決算発表が続いた。目玉薬品に対する競争激化が明らかになった先は株価が押し下げられた。
ギリアドは全体の売上がアナリスト予想を上回ったものの、アッヴィ(ABBV)の台頭によりC型肝炎薬の売上が3分の1減少し、フランチャイズのシェアを狭めたことが嫌気された。セルジーンは乾癬性関節炎治療薬「オテズラ」が売上未達となり、広範囲の薬品についても2020年までの長期見通しを引き下げたことで大きく下落した。
一方、サレプタ・セレピューティックス(SRPT)は進行性筋ジストロフィー薬「エクソンデイズ51」が好調で売上がアナリストを上回り、純損失はそれを下回り、見通しを引き上げたことが好感された。
バイオ医薬品銘柄の見極めはパイプラインのなかからFDA(米国食品医療品局)の認可済で今後株価上昇につながる可能性のある薬品をはやく見つけることが肝要だが、競争環境への目配りが難しいといえよう。

無料新着記事

記事一覧へ

今ご登録で特典5銘柄+大石銘柄+5000ptをプレゼント!

今すぐ無料登録 クリック