決算見直し買いの動きが出始める
米国市場が続落して地合い悪化が意識される中、日経平均は弱含むも中小型市場はしっかりの動きを見せてくれました。
決算発表で極端に下げるものも多かったですが、先日好業績にもかかわらず売られた銘柄にも見直し買いが入ってくるようになってきました。
目先における水準訂正の動きが期待できるようになってきたという点では市場の不安も少し和らいだと言えるかもしれません。
方向感が出るまでは日経平均は21500円〜22000円のボックスと言え、21500円まで下げるところは買いで22000では売り、このレンジを上抜ければ当然買い乗せですが、逆に21500円割れではドテン売りも想定しておく必要がありそうです。
このような中途半端な見通しになってしまう背景については昨日のコラムでもお伝えのとおりですので、読み返していただければと思います。
また、11月のオプションSQを通過した後も強気になりきれない要因としては金融株の冴えない動きも見過ごすことができません。
米国市場で世界最強に君臨する投資銀行のゴールドマンサックスが大きく売り込まれる中、13日には三菱UFJ(8306)が決算発表と同時に通期の上方修正を発表しました。
加えて、増配と自社株買いを発表するなど日本政府でなくとも「あらゆる政策を総動員」の構えになっています。
日本最強のメガバンクとされる三菱がこのような措置に踏み切ったのは非常に異例なことと言えます。それだけ現在の株価低迷に対して経営陣が危機感をもっている表れとも言われています。
こんな動きはリーマンショック直後の時以来かもしれません。
これをもって、冷え込んだ日本市場が息を吹き返すのを期待することはできませんが、日本株浮上のシグナルを見極めるためにはやはり銀行株の動向は見ておく必要があると言えそうです。
ただし、投資家として金融株を買うのは大きなショック時に限ります。
あくまでも銀行株は監視対象としておくべきもので、銀行株でキャピタルゲインを狙うというのは得策ではありません。
もし、同じように市場期待が低くなっているバリュー株を狙うのであれば、業種的には米中貿易戦争懸念で売られた機械セクターを拾っておきたいところです。
先日少しずつ拾っておくことをオススメしたアマダ(6113)は好決算が素直に評価された好例です。
世界的に見ても抜群の競争力を誇る日本企業が、米中対立を背景としてこれだけ売り込まれた構図ですので、今月末から再開予定の米中協議で懸念後退となれば大きく買い戻される展開も期待されるでしょう。
個人的にはこの米中の覇権争いの中で「割を食うのが日本」ではなく、「漁夫の利を得るのが日本」になる可能性もあると思っています。
短期的にはボラティリティが大きくなると、どうしても足元の株価の振れに目を奪われがちですが、UTグループ(2146)のように冷静に売られ過ぎた銘柄を拾っておけると後々見直されてくるでしょう。
【 相 場 の 格 言 】
『 相場の上下につれて期待や不安も増してくる。
多くの人を売買に誘うのは健全な判断ではなく期待や不安からである。 』
それでは来週も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
【本日ご紹介した銘柄】
三菱UFJ(8306)
UTグループ(2146)
執筆:加藤あきら
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