株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2019-01-19 09:00:00

加藤あきらの投資戦略室

悪材料も出尽くしてしまえば買い材料

お休み中のところ失礼いたします。

今回は週末の動きが気になったのでこれを中心に今週の相場を振り返っておきたいと思います。

米国市場で1ヶ月ぶりの高値、12/14に開けた窓埋め完了と市場回復が鮮明化したことが買い安心感につながって続伸の勢いが止まりません。

買いを後押ししたのは、「中国に対する関税引き下げ検討」といったこれまでの強硬姿勢が軟化する期待感から強含みとなったようです。

ただ、ニュースベンダーのWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)とロイターでは情報の食い違いがみられていますので、市場の動向をいつも以上に注意深く見ておかなくてはなりません。

ムニューシン財務長官もライトハイザーUSTR(アメリカ合衆国通商代表)も上記について現段階では否定していますので、確実性といった観点からはまだ信頼できませんがそういったリーク話が出てくるだけでも市場が強気に変化している雰囲気が漂っています。

特に気に留めておきたいのは為替の動向ですが、現在はドル円109円付近での攻防となっています。

実際の株式市場では下げるに下げず、何やら上げたがっている素振りを見せてきました。

先行きの不透明感はいつの時代も変わらずあるものですので、米国の企業決算シーズンの間は現在の相場環境が続く期待を持っておきたいところでしょう。

一方で、市場が気にしているのは昨日発表された日本電産(6594)の決算で、エレクトロニクス業界にとっては他に先んじて発表されることから、市場の先行指標として認識されています。

内容としては通期の下方修正を含む弱気の見通しが示され、カリスマ経営者として知られる永守会長が「リーマンショック以来の最悪の事態となった場合を想定」しているとのコメントが出されました。

市場ではすでに先行き悲観で下げてきておりましたので、現在の株価でどこまで織り込まれていたのかが焦点となります。

もちろん、これまでの動きで相当程度織り込み済みであったのであれば目先で売りが先行したとしても、急速に値を戻してくる可能性があるのが株式市場です。

業績修正理由の中に「米中貿易摩擦に端を発した経済の不確実性」と「大規模な在庫調整が進行」とあることから、カリスマ経営者ならではで先に手を打っておくといった対応でしょう。

「今下期で240億円の構造改革費用を計上」とあることから、今期中に膿みだしを済ませておいて今後の業績下振れの可能性を排除しておく算段かと思われます。

と考えると、仮に冒頭の米中対立の影響が想定よりも悪化しない前提に立ち、同社の想定為替レート対ドル100円に設定した利益計画は1Q段階で上方修正したものを一転して下方修正したかたちですので、当初の計画に収まってくるようであれば前期からの落ち込みは避けられて株価は10000円台で下げ止まってくると思われます。

株価は2017年の上昇前の水準に下落することになりますが、市場全体を表すTOPIXはすでにこの水準を下回って安値を形成しました。つまりは、日本電産(6594)の株価は市場平均よりも割高な位置で値を保っていたことになります。

最悪の事態までも想定した日本電産の株価が、思惑どおりに割高感のみを修正して下げ止まってくるのであれば、むしろ底値が確定して「後は上がってくるのみ」となる期待感に変わってきます。

それでも企業業績の先行きが・・・という投資家は日経ダブルインバース(1357)でも併用して値下がりをヘッジしておけばよいだけです。昨日のNT倍率修正といった市場の歪みをつく意味で持っていてもよいかもしれません。

株式市場は不透明感を嫌いますので、悪材料も正体が分かってしまえば材料出尽くしで買い材料へと変わることを忘れずに投資していきたいですね。


【 相 場 の 格 言 】
『 肉は腐りかけが一番うまい 』

それでは来週も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。

【本日ご紹介した銘柄】
日本電産(6594)
日経ダブルインバース(1357)


執筆:加藤あきら

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