カジノIR構想、先の先、裏の裏を読む
コロナ禍でインバウンドが消失し、いつのまにか、話題に上らなくなってしまった日本のカジノIR構想。
安全志向の日本らしく、治安悪化が心配だとか、ギャンブル依存症が心配だとか、ネガティブ面が取り沙汰される事が多い傾向は相変わらずですが、カジノIR構想についての個人的な意見は、米国の複数の州における嗜好用大麻の解禁に似ている、と認識しています。
2016年11月、ちょうどトランプ大統領が誕生した選挙と同日に、米国カリフォルニア州では住民投票の結果、嗜好用(娯楽用)大麻の使用が合法化されました。
期待された税収増は、期待された増加率ほど伸びてはいないようですが、合法化すれば、むしろ大麻がらみの犯罪は減少に転ずるとの指摘もあり、ネガティブ面だけでなく、ポジティブ面に対する期待もあったわけです。
いかにも米国的ですね。
やや詭弁チックではありますが、トランプ大統領が誕生するという大ニュースの裏側で、ひっそりと、しかし大幅に前進した嗜好用大麻合法化のように、コロナ禍だったり、新政権誕生だったり、決算発表に世間の目が向いている間にも、実はカジノIR構想は着実に進み始めているかもしれません。
気が付いたら、いつのまにか、カジノIR構想にまつわるネガティブ面の指摘は後退し、逆にポジティブ面に対する期待こそが盛り上がったりするやもしれません。
国は各自治体からの申請を受けて計画内容を審査し、2022年中にIR開業の候補地を正式決定する予定です。
有力候補のひとつとされていた横浜市は、2021年8月の横浜市長選挙でカジノ反対派の市長が当選したことから誘致を撤回しました。
撤退と明言していない自治体として、東京(お台場)、愛知県名古屋市、愛知県常滑市がありますが、今のところリードしているのは下記3か所です。
・大阪府・大阪市【夢洲】
・長崎県・佐世保市【ハウステンボス】
・和歌山県・和歌山市【和歌山マリーナシティ】
上記3か所の候補地のうち、やや出遅れていた大阪市は、9月28日に「MGMリゾーツ・インターナショナル」と「オリックス株式会社」のコンソーシアムを事業者に選定。
初期投資総額は1兆800億円と最も大規模です。
区域整備計画については、自治体と事業者で共働し2021年中には作成する見通しとなりましたが、オリックス(8591)は11月4日に、最大2700億円規模のエクイティ出資を行う予定を開示しています。
さらにオリックス(8591)は、
「もともとインバウンド等を勘案した上で数年前からやっていたが、現在は、客は全員日本人で、日本人だけでどれだけ回るかの前提でプランニングを作っている。
10%以上のIRR(内部収益率)は十分回せることを前提に試算している」と独自の数値計画を持っていると言及しています。
はい、ターゲットをインバウンドではなく、日本人へ変更するという事です。
当然、まだまだ紆余曲折はありましょうが、「外国人専用」や「インバウンド主体」ではなく、「日本人向け」という可能性も出てきた、という事で、ひょっとしてひょっとすると、2020年代の後半とされている開業時期が早まる可能性さえあるかもしれません。
カジノIR構想関連株としては、随分前から、ゲーム機械やから警備会社に至るまで、様々な企業が話題に上りましたが、私自身が個人的に注目しているのは下記のとおりです。
◎ゲーム機関連
・コナミHD(9766)
・セガサミーHD
米国カジノへのゲーム機納入としての実績から考えるとコナミこそ大本命であるように考えますが、撤回された横浜に対する働きかけはセガサミーも強かったとされており、「日本人向け」となればセガサミーも「対抗」としては充分だという印象です。
◎トイレ・水回り関連
・TOTO(5332)
・LIXIL(5938)
実はカジノには、あり余るくらいの数のトイレを作っても、トイレ待ちの人の列ができる傾向が指摘されております。
ましてや、オリックスの相棒となるMGMは大阪IRのコンセプトとして、人や産業などあらゆるものを結ぶ役割としてのIRと、大阪の伝統・文化・精神の継承を意味に込めた「結びの水都」を提案しています。
「水回り」はカジノIR構想の重要なポイントとなってくる可能性が高いものと考えます。
◎参考銘柄
オリックス(8591)
コナミHD(9766)
TOTO(5332)
LIXIL(5938)
執筆:木村泰章
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