木村流鉄板ディフェンシブ銘柄
だって、「鉄板」ですから!
あすなろの会員様には、株式投資歴数10年以上の「熟練者」レベルの方も少なく無いので、しばしば、こんなご質問が寄せられる事があります。
「ごく目先は、全体相場は下向きだろうと思ってるんだけどさ、レバの売りとインバースの買い、どっちが良いと思う?」
もしくは、全体相場が大幅下落した際に、その後の戻りを期待して、こんなご相談をいただく事もあります。
「戻り狙いで、レバを買うか、電力か鉄あたりを買ってみようと思うけどど~かね?」
<<用語解説>>
・レバ=NF日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)
・インバース=代表的なインバース銘柄=NF日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(1357)
・電力=東京電力HD(9501)
・鉄=日本製鉄(5401)
う~む、素晴らしい!
さすが「熟練者」!
ですが、僭越ながら「採点」させていただくとすれば、100点満点中60点~70点くらいの感じです。
まず、「ごく目先は、全体相場は下向きだろうと思ってるんだけどさ、レバの売りとインバースの買い、どっちが良いと思う?」のお問い合わせの背景としては、「少なからず保有銘柄や保有ポジションがあるけれど、下向き相場に備えてヘッジをしておきたい」というものでしょう。
「考え方」は素晴らしい、でも、「手法」はあまり「的確」だとは思わない、ゆえの70点です。
なぜならば、「妥当なヘッジ率」の試算が難しいからです。
1000万円相当のポジションを、「フルヘッジ」するには、1000万円分の「売り建て」に相当するポジションを持たねばなりません。
非常に大雑把な表現で恐縮ですが、「追加で1000万円の資金が必要」です。
となると、株式(もしくは有価証券)という「リスク資産」への投資額が倍増してしまいます。
ここでキチンとご確認いただきたいのは、「ヘッジ」の対象として「妥当」であるのは、「想定しうる価格下落」ではなく、「想定できない不確実性=リスク」です。
つまり、「ヘッジ」すべきは「リスク」であるわけで、リスク資産が倍増してしまっては、「リスクヘッジ」になりません。
となると、「妥当なヘッジ率」は、追加資金の投入をも考慮すると、結果的に「かなり低くなる」事が一般的です。
もっとわかりやすく申し上げるならば、自動車を運転する際の「保険」の概念に近いと申し上げて宜しいでしょう。
「もしも」の事態に備えて、各種保険の購入・加入が「任意」と「強制」で用意されています。
それを、運転者の「リスク許容度」と照らし合わせて、「どれくらい」の保険を掛けるか判断・決定してゆくわけですが、
株式投資における「リスクヘッジ」も、基本的な概念は同様です。
「妥当なヘッジ率が結果的にかなり低くなる」傾向があるならば、考慮すべき点は2つしかありません。
「結局全く保険を掛けないか」、「いわゆる掛け捨て保険くらいに割り切るか」だけでしょう。
となると、「ヘッジ」という感じよりは「保険」、「保険」というよりは「ポジション調整」に近いでしょう。
加えて、「効き」の悪いインバース系の買いよりも、レバの売りをも考えたところはさすがですが、では、もっと「少額」で「同じような効果」が期待できる、「先物」や「オプション」を考慮しないのか、という点に関して理論的な説明がつきません。
70点というよりは65点くらいの感じですね。
他方、「戻り狙いで、レバを買うか、電力か鉄あたりを買ってみようと思うけどど~かね?」のお問い合わせの背景は、
「少なからず保有銘柄や保有ポジションがあるけれど、戻りの速度が速いヤツに乗り換える是非は?」という事でありましょう。
はい、ここで指数系ETFを買うのは理にかなっていますね。
「上昇速度」に着目するのであれば、個別銘柄よりもレバの方が良いでしょう。
ただ、じゃあ、「なぜ先物やオプションではなくレバなのか」という、先の例と同様の疑問は残ります。
さらに、「下落局面からの戻り狙いで電力や鉄を買う」という点については、「王道」ながら「古い」!
個別株を「乗り換え」ながらポートフォリオの中身を変更するという手法は、完全に「ポジション調整」です。
で、この「ポジション調整」は、上昇時の「速度」にフォーカスしたものではなく、単に、「主力級の代表銘柄を割安状態で買って長期保有」する事こそに重きを置いた投資手法です。
さらにさらに、「長期保有する代表的銘柄」という選択基準自体に間違いは無いのですが、ならば、配当の無い東京電力は「適格」とは言えず、かつ、上昇時の「速度」も「遅い」と見るべきでしょう。
というわけで60点ですね。
「ヘッジ」でも無く、「保険」でも無く、単なる「ポジション調整」であるならば、
「全体相場の下落時に、切り返し狙いで有配のディフェンシブ銘柄を買って1年程度継続保有する」という手法をご紹介しておきます。
業績面が切り返し局面ならば、「速度」面も期待できるかもしれません。
で、さらに、「鉄板」と見ている銘柄なので、「無料銘柄ご紹介じゃもったいないクラス」と思っている次第です。
ゆえに詳しくはご説明しません。
お取り組み内容についてのご助言も致しません。
はい、どうぞ。
ツムラ(4540)
執筆者:木村泰章
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