株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2023-01-07 09:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

休日読み物Part.1:【買う】という投資行動に対するありがちな誤解

ドキッ!となさった会員様、少なく無いのではないでしょうか?
「投資判断」が「買い」であっても、実際に「買う」という「投資行動」を実行するには、「タイミング」を見極める必要があります。

例えば、定価2万円のコートが、半額セールで1万円で買えるとしたら、「定価に対しては」明らかに安いわけですが、そもそも論として、まず、最初に考えなければならないのは、「何の為に買うのか」という「目的」です。

「そのコートを防寒着として着用する為に買うのか?」
「そのコートを転売して利益を得る事を狙うのか?」

この2つの「目的」の違いだけでも「買い方」は異なります。
防寒着として実際に着用するならば、「今すぐ」にでも「買う」必要がある一方で、転売目的で「買う」のなら、セールや、「シーズンオフの在庫処分売り」を待って、少しでも「安く買えるタイミング」を待つ方が賢明でしょう。

当然ながら、「安い」という「判断」についても検証が必要です。
「何と比較して安いのか」という「尺度・基準」が必要となります。
「定価と比較するのか」、「同じような他メーカーのコートと比較するのか」、
「他のコートの性能面を比較するのか」といった点です。
会員様各位にも、概ねご同意いただけるものと存じます。

さて、株式投資のお取り組みのうえでの、「買うという投資行動」にも同様に、
場面や状況によって「買い方」が「大きく異なる」事を、皆様ご認識いただいておりますでしょうか?

まず、「買い付け」が、「既に保有なさっている株」なのか、「初めて買い付ける株」なのか、という点で「買い方」が異なります。
「初めて買い付ける株」は、まず、「打診買い」が基本姿勢で、少量「買って」様子を見るという「経過観察」が必要でしょう。

一方で、「既に保有なさっている株」であったり、「打診買いが完了した初めての株」を、「買い増し」する際にも、
場面や状況によって「買い方」が異なります。
保有している銘柄の平均取得コストよりも、株価が「下落しているのか」、「上昇しているのか」によって、買い方が異なり、つまり、「ナンピン買い」するのか、「追従買い」するのかで、買い方が異なるのです。

「ありがちな誤解」が多く見られるのは、特に、保有なさられている株の下落局面です。
下落局面ですから、株価の「方向性」は下向き、となっているわけで、ここで「買う」という投資行動に出る事は、「買うのは株価が上向きになっている時」という「売買の大前提」に反します。

はい、実際の「売買」における、「大前提」をここで、是非、今一度ご確認ください。
・実際の売買は、可能な限り、相場の流れや、株価の方向性に「逆らわない」
・特に「買い」の執行については、株価の方向性が上向きで、かつ、更なる上昇が期待できる「タイミング」こそが「適している」。

対して「売り」は、ご自身の投資シナリオ上の目標株価に達した時点や、明らかに過剰反応と思われる「買い」が流入した時や、投資シナリオの変更を迫られるような重要な「売り」材料が「突出」した際や、他銘柄を「買う」為にやむなく「売る」等、「理由も目的も様々」である為に、「判断も執行」も難しく、単に「株価が下向きで、かつ、更なる下落が見込まれる」場面・局面だけでは無いのです。

ゆえに、「売りどころ」の「判断」に迷われた会員様からのご相談が多くなるのは「必然」と考えています。
一方で、「理由も目的も様々」である為に、「妥当」な売りどころに関するご助言も、会員様おひとりおひとりの「ご事情」により異なり、「一般論的な前提」として、大変乱暴な申しげ方をするならば、「利食えるなら売っておけ」、「損切りになるなら売らずに待て」となってしまいがちなわけです。

では、本日のお題である「買い」についてはどうかというと、実は、「買い」についてのご相談に多いのは、上掲のとおり、保有なされている株の下落局面での、「買い増し」についてです。
はい、圧倒的に多いのは、「追従買い」ではなく「ナンピン買い」に関するご相談です。

「売りが難しい」のに、「買いだけは簡単」なハズはありません。
「買い」についても、「理由や目的」に応じて、執行方法を変化させるべきであり、かつ、「安いから買う」という概念は短絡的過ぎ、「ナンピンで取得コスト下げる」事は「目的」には該当しません。
そうです。
「買い」も「売り」同様に難しい投資判断・投資行動なのです。

「ナンピン買い」の「目的」は、「株価の切り返し時に利益を享受する事」です。
その為の「手法」として、「取得コストよりも安い水準で追加の買いを行って平均取得コストを下げる」投資行動がナンピン買いに該当します。
となりますと、株価の「切り返し時」に利確できるようにする事が「目的」なのですから、株価の方向性が下向きの間は、「安い水準での追加買い」は可能であっても、依然として「切り返しが示現していない」わけで、「タイミング」としては明らかに「時期尚早」なのです。

これが「ありがちな誤解」です。
ナンピン買いで「さえ」、「買い」は株価の方向性が上向きで、かつ、更なる上昇が期待できる「タイミング」こそが「適している」という「大前提」から、
「逸脱して執行」してはいけないのです。
となれば、「ナンピン買いを行うタイミング」は、「株価の下落局面後底打ちし、切り返し基調を確認してから」以外、セオリー的には考えられないと申し上げて宜しいでしょう。

株価が上向きに転じるのを待っている間にも、他の個別銘柄群や全体相場の状況は刻々と変化する可能性があります。
となると、「相対比較的に」は、同一銘柄のナンピン買いよりも、他銘柄の打診買いの方が期待リターンが大きくなっている可能性もあるわけです。
だからこそ、「買いも難しい」。
保有銘柄が下落したらナンピン買いだ、という「ありがちな誤解」をなさらぬようご留意いただきたいと存じます。

僭越ながら、本日の「レッスン」として、今一度、会員様各位にお伝え申し上げます。

「買いは、株価の方向性が上向きで、かつ、更なる上昇が期待できるタイミングで行う」
「ナンピン買いを行うタイミングは、株価の下落局面後底打ちし、切り返し基調を確認してから」

是非、「セオリー/大前提」としてご認識いただきたいと存じます。



執筆:木村泰章

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