投資主体別売買動向:海外勢の動向以外の注目点とは?
ただ、最も重視される傾向にあるのは、海外投資家動向「のみ」との印象で、他の投資主体の動向が注目される事は少ないように思います。
「外国人が●週買い越し」とか、「海外勢が●週ぶりに売り越し」とか、ニュースになるのも海外投資家動向ばかりが目立ちます。
見るべきところは、海外勢の動向だけなのでしょうか?
いえいえ、投資主体別売買動向には、他にも様々な「サイン」が潜んでいるように思います。
例えば、「信託銀行」の動向が何を「暗示」しているかというと、これは元来、「年金基金」の動向を暗示する「ものさし」とされてきました。
GPIFを始め、年金を運用する機関の動向が、信託銀行の売買動向に反映されるから、という根拠に基づいています。
信託銀行は2022年11月から23年7月まで9か月連続で売り越しで、8月も今のところ売り越し基調です。
今年1月以降の日経平均の上昇に寄与した投資主体が、「年金」では無い点は明らかですね。
では、「事業法人」の動向は、何を「暗示」しているのかご存じでしょうか?
これは、「企業による自社株買い」の動向を暗示する「ものさし」との見方が一般的です。
「事業法人」の買い越し姿勢が強まっていれば、上場企業が自社の株価を割安と考え、積極的に自社株買いに動いているものと連想されるわけです。
7月以降、売り越し額は縮小傾向が見られますが、「投資信託」も4月以降売り越し基調でした。
これが、6月の最終週くらいから、買い越しに転じる週が散見されるようになってきました。
「年金=パッシブ運用」と仮定するなら、「投信=アクティブ運用」と位置付ける事もできるかもしれません。
ゆえに、投資信託の売買動向は、「パッシブ運用やバリュー投資」ではなく、「アクティブ運用やグロース投資」の動向を暗示しているものと捉えられ、更に拡大解釈をするのであれば、投資信託が買い越し基調に転じてくると、市場における「リスク選好度」が高まる事が予想され、投資マインドの改善につながりやすい傾向にあるとも言えましょう。
「先行指標」とまでは言えないにせよ、「投資信託」の売買動向が買い越しに転じ、それが続くと、投資信託の最終受益者に「個人」が多い事から、個人投資家が好む、中小型成長株群こそが物色されやすい「環境」となりやすい、と推察されるわけです。
決算発表シーズンを通過し、お盆休みも夏休みも終わり、いよいよ会員様各位には、本格的に株式投資へのお取り組みを再開していただきたいと思います。
今週木曜日に発表される8月25日で終わる週の主体別売買動向についても、海外勢の動向だけでは無く、「投資信託」の買い越しが続くかという点にも是非ご注目いただきたいと存じます。
執筆:木村泰章
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想定どおりの株価上ブレ。
出来高が増えてくる事に期待しましょう。
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