日本化薬（4272）

日本化薬は医薬（抗がん剤・造影剤等）とファインケミカル（機能性樹脂・電子材料・色素・触媒）を二本柱とする総合化学である。医薬は「安全に効かせる」製剤設計と後発品を含む供給網が強みとみる。化学はエポキシ・マレイミド系樹脂や電子部材、偏光板などの“性能で選ばれる素材”が核。加えてアグロ・診断薬まで裾野が広い（豆知識：同社は火薬由来の安全設計の文化があり、医薬・素材でも堅実な品質思想が通底）。中期は医薬のライフサイクル延伸と、高耐熱・低誘電など高機能材料の構成比を高める運営が軸である。

最新の2026年3月期1Qは売上高547.58億円、営業利益43.67億円、経常利益40.67億円、親会社株主に帰属する四半期純利益42.92億円。前年同期は売上高536.45億円、営業利益55.70億円、経常利益72.78億円、純利益35.66億円で、増収・営業減益・最終増益の組み合わせと読む。主因は製品ミックスや費用配分の期ズレで、通期は医薬の安定需要と機能性材料の単価是正が下支えとみる。財務は純資産比率おおむね7割台で堅健。会社は上期売上1117億円、営業利益96億円、経常利益96億円、純利益100億円を計画しており、保守的レンジ運用の印象である。業績予想を上方修正してもおかしくはなさそうだ。

株価は決算と医薬トピックスに敏感である。短期は25日移動平均線と75日移動平均線の傾き、直近高値帯の処理に注目。出来高を伴う上抜けが続けば抵抗帯の支持化が進むシナリオ、失速なら13週線やボリンジャー中心線での押し目形成を想定。中期ではディフェンシブ×高機能材料の組み合わせが相対的な下支え要因になりやすい一方、原材料・為替の変動はマージンに影響しやすい。段階的な指値分散と、決算後の需給の落ち着き確認を基本とする評価がベター。