将棋でいう良い手を探るとき
為替の円安で日経平均は少し水準を切り上げましたが、全体的に盛り上がりに欠けるのはやはり売買高が膨らまないことにも表れています。
材料株の上昇が目に留まりますが、材料の後追いは分が悪いのでジャンピングキャッチはお勧めしません。
もしお持ちのものが優良なものであるならば、保有銘柄に材料が出てくるのを待つ方が賢明です。
そんな中で気になるレポートを一つご紹介しておきたいと思います。
スイス金融大手のUBSが発表したものですが、とても興味深い内容でした。
その報告書によれば、今まさに「史上最大級の富の移転」が起ころうとしている瞬間。
特に、ちょうど私と同年代にあたるようなミレニアル世代(報告書では1982〜1998年生まれと定義)のうち、年齢が高い層は所得のピーク期に入ろうとしているそうです。
同時に、戦後生まれのベビーブーマー世代は数年以内に下の世代に何兆ドルもの資産を引き継ぐだろうとのことです。
報告書の試算によると、世界のミレニアル世代の総資産は、2020年に最大24兆ドル(約2670兆8000億円)に達し、2015年から7兆ドル(約778兆9000億円 )もの増加。
金融機関はこぞってウェルス・マネジメント(資産運用)に関して、間もなく「史上最大級の富の世代間移動」の恩恵を受けるミレニアル世代特有の嗜好・傾向を意識することが「非常に重要」になるとしてマーケティング強化・サービス拡充に動いています。
腰の重たい金融機関が動くのは余程のビジネスチャンスを見込んでいるということになりますね。
報告書の中で、ミレニアル世代を引き付けるようなサービスを形成するにあたって、?利便性、?デジタル活用、?透明性の3点が重要であるとされています。
?利便性については、ミレニアル世代は欲しいときに欲しいものを手に入れることに慣れており、資産管理にも同じようなオンデマンドサービスを求めていると分析しています。
その裏付けとして、アプリ内チャットやビデオ会議など、ファイナンシャルアドバイスを受けられるモバイル型のバンキングサービスに対するミレニアル世代の需要は、ベビーブーマー世代に比べ2倍以上高いとの統計があるそうです。
もしそうなるとしたら、ブイキューブ(3681)のようなビジネスはこれから大きく拡大していくことが見込めそうですね。株価の動きを見る限りではまだまだ長期低迷中です。(笑)
さらに、?デジタル活用では、ミレニアル世代が携帯電話から資産管理できるようになることを求めていることはもちろんだが、実のところアナログサービスと併用する例が多いみたいです。
ミレニアル世代が実店舗を訪ねる頻度は、ベビーブーマー世代のほぼ2倍(ミレニアル世代が年29回、ベビーブーマー世代が年16回)。そして、ファイナンシャルアドバイザーなどと接触する頻度はベビーブーマー世代の3倍としています。
ミレニアル世代をターゲットにするにはデジタルも既存の実店舗も必要であることが解かりますが、逆にベビーブーマー世代はどうやって資産管理をしてきたのでしょうか。
もし、これが本当ならあすなろ投資顧問も実店舗を構えるようにしなければならないですね。「株の窓口」みたいな。(笑)
最後に、?透明性については、金融機関にとっては高いハードルと言えるかもしれないですね。
特にミレニアル世代は最もオープンな世代と言われ、企業が自身の習慣、購入履歴、検索履歴などのデータを収集していたとしても、それが製品やサービスの質の向上につながるなら、ミレニアル世代は概して気に留めないとされています。
こうした傾向はファイナンシャルサービスにも当てはまるため、金融機関はうまく活用するべきと言及しています。
片や、金融機関の提供する商品やサービスに関しては、複雑で分かりにくいものが多かったり、敢えて見えづらくしているのではと思うこともあります。
例えばですが、投資信託の手数料や信託報酬、債券の手数料、信託銀行の資産管理費などは一見見落としがちで、ましてや、そもそもの投資対象が何であるのか、時価での運用パフォーマンスはどれほどなのか等分かりにくかったりしますよね。
おそらく見えたら見えたで一喜一憂して、何に期待して投資したのか分からなくなったりすることもあるのかもしれませんが、やはり自分の投資先が分からないことが一番怖いことだと思います。
そうした意味で、世の中の富が大きく動く時であるならば、なおさら価値の変動を利用して利益につなげるチャンスですし、自分の投資先には自信を持って投資できることが幸運な結果を引き寄せることになるかと思います。
相場が動かない時だからこそ、次の相場に向けた戦略を練るには適していると言えます。
慌てなくても業績相場はすぐそこまでやってきています。
【 相 場 の 格 言 】
『良い手を指そうとするよりは、悪い手を指さないよう自戒する』
…将棋の大山康晴名人の言葉。将棋でも、相場でも、戦いは大きなミスをした方が必ず負けるということです。
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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