株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-09-03 15:00:00

米株くらぶ

地政学リスク調整こなし堅調に推移

8月最終の28日週明けの株式市場は、北朝鮮の地政学リスクや政治リスクに追い打ちをかけたハリケーン被害を限定的なものとして落ち着いた展開となっている。29日午前中には北朝鮮ミサイル発射の報道を受けてNYダウが134ドル急落する場面もあったが、その後調査会社コンファレンス・ボードが発表した8月の消費者景気信頼感指数が、市場予想に比べて良好な結果だったことなどを材料に買いが入り、NYダウ、ナスダック、S&P500の3指数とも前日比プラスで引けている。

週末に開催されたジャクソンホール経済シンポジウムでは、ドラギECB総裁の講演で量的緩和縮小開始が示唆されたことからユーロが買われたほかはイエレンFRB議長の講演も特に材料視されなかった。当目注目される経済指標は9月1日(金)発表の雇用統計(市場予想では失業率4.3%、非農業部門の雇用者数の前月比18万人増加)とISM製造業景況感指数(市場予想56.5)である。

企業の第2四半期決算発表から米経済の回復の確かな足取りが確認されたことが基調となり、目先の税制改革、債務上限引き上げ法案審議を巡る政治リスク、地政学リスクの調整をこなしつつ9月に入っても落ち着いた相場展開が続くと予想されている。

9月初めは2ヵ月以上の長い夏休みが終わって新学期を迎える準備の買い物が増える時期である。店舗の多くは“バック・ツウー・スクール・セール”を掲げ、顧客の取り込みに忙しくなる。29日に第2四半期の決算発表した家電量販店ベストバイは、オンライン販売などが奏功し、既存店売上高が5.4%増と前年同期の0.8%増から大きく改善するなど市場予想を上回る内容だった。しかし、販売好調は一時的なものであり、今後もEコマース投資が重しになるとのCEOの悲観的なコメントを嫌気して株価は11%下落した。

あすなろでは、引き続き政治、地政学リスクによる短期間の調整に注意しつつも株高が続くことを予想している。今回は小売り関連から決算内容が注目されたディスカウントショップ2銘柄を紹介する。

1.ファイブ・ビロー(FIVE)[NASDAQ]


 
ファイブ・ビロー(Five Below Inc.)はディスカウント小売り会社。ティーン向けの衣料、服飾雑貨、アクセサリー、インテリア用品、スポーツ器具、携帯端末アクセサリー、パーティー用品、菓子類、季節限定商品を5ドル以下で販売する(商品のラインナップから原宿の竹下通りを連想)。フィラデルフィアに本社を置き、32州のショッピングセンター、ショッピングモールで570店舗を展開する。足元で日本でも話題になった人気玩具“スピナー”で販売を伸ばす。

 株価は49.27ドル、(前日比+1.44%)(現地8/30引け)。8/30の5〜7月決算発表では売上高が前年同期比28.7%増の283.3百万ドル、純利益は70.7%増の16.8百万ドル、希薄化後のEPSは0.30ドルで前年同期の0.18ドルから67%上昇。既存店売上高は過去最高の9.3%増。玩具“スピナー”人気が売上げ増に寄与した。市場予想を上回る好決算と通期見通しの引き上げを受けて株価は上昇。株価は買いが入りやすいカップの取手の位置につけた。
 ティーン受けする商品ラインアップはアマゾンの攻勢の及ばないニッチな分野であり、CEOも今後の店舗増設に強気である。


2.オーリーズ・バーゲン・アウトレット・ホールディングス(OLLI)[NASDAQ]



オーリーズ・バーゲン・アウトレット・ホールディングス(Ollie’s Bargain Outlet Holdings Inc.)はペンシルベニア州ハリスバーグに本拠を置くディスカウントショップ・チェーン。米国20州の250店舗で事業を展開する。倉庫型の店内で、ブランドネームの物品を格安価格で提供する。取扱商品は家庭用品、食品、書籍、寝具、キッチン・バス用品、カーペット、玩具、工具など。会社設立は2012年8月と比較的新しい。

株価は42.70ドル、(前日比-1.39% )(現地8/30引け)。8/29引け後の5〜7月期決算発表では売上高が前年同期比20.5%増の254.6百万ドル、純利益は50.1%増の19.7百万ドル、希薄化後のEPSは0.30ドルで前年同期の0.21ドルから上昇。既存店売上高は4.5%増。市場予想を上回る決算と通期見通しの引き上げにもかかわらず、粗利益の縮小(前年同期の39.7%→今四半期39.4%)を嫌気し株価は下落した。しかし、CEOが今後の見通しに強気でありこの先大きく売り込まれることはないようだ。
 ディスカウントショッップはアマゾンの攻勢を受けにくい数少ない小売りの分野である。景気回復とともに業容の順調な拡大が見込まれよう。

<米国株豆知識 その10>
ベストバイの復活
 米企業はCEOが変わって業容が一転することが多いが家電量販店大手のベストバイの復活もその一例だ。5年前はアマゾン・ドットコムをはじめとするネット販売の攻勢により顧客が来店して値段をチェック後、安いネット販売で購入する“ショールーミング”により販売が低迷し苦戦していた。
 2012年にマッキンゼーのコンサルタントで現CEOのヒューバート・ジョリー氏が経営の立て直しに着手。実店舗を配送拠点として活用するほか、サムスン、ベライゾン、マイクロソフトなどに賃貸し、携帯電話の契約成立時と同時にスマホの販売につなげるなど資産の有効活用に努めた。また、技術サポート、修理サービスなど対面サービスを強化し、ネット販売との差別化を図った。12年末に11ドルだった株価は17年8月には60ドル台まで買われている。日本の家電量販店各社もベストバイの戦略から多くの示唆を受けている模様だ。

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