行き過ぎもまた相場
今週も相場を刺激する材料に囲まれて荒い値動きが継続しています。
先物は異常なほどの早さで下落と上昇を繰り返し、底堅いように思われた新興市場は揺さぶりにあって大きく水準を落としました。
マザーズ指数が5%を超える程の下げに見舞われ、リスク資産の値下がり率ではずば抜けた下落を記録しました。
先週に引き続き、米関税を巡る各国の貿易摩擦懸念と週末の日銀金融政策決定会合、ECB理事会などのグローバルな枠組みの議論が巻き起こり、こうした際には為替動向に注目が集まりやすくなります。
足元では先週末のコラムに載せたドル円レート105.55円を貫通して円高方向に振れていますので、株式市場でも警戒する向きが強まったのでしょう。
水準観だけの比較でみれば、直近の日経平均安値を割り込んだとは言っても為替水準はその時以上に円高に振れていますので、下値余地としてはもう少し覚悟しておくとよいかもしれません。
先週末の時間外ではCME日経先物で20685円の安値をつけています。
また、今週は中国で全人代(全国人民代表大会)が開かれます。
今や権力者として不動の地位を築いている習近平政権の長期化ならびに独裁色を強める懸念の声も聞かれてきます。
ただし、資本主義の台頭をふまえても中国は元々かなり内向きの国ですので、トランプ発言に見られる貿易戦争なるものは中国の内政次第といったところになってくるでしょう。
当コラムでも度々指摘していますが、相場の変動要因において政治に関わる色合いが日増しに濃くなっています。
世界の指導的立場を巡る米中の対立の構図には否が応でも関係各国を巻き込む影響力がありますので、動向を注視しておく必要があります。
加えて、イタリア総選挙の結果が本日判明し、市場の反応は限定的ながらも一時的な波乱要因を誘発する可能性は残っています。引き続き、「政治の安定化」はキーワードとして意識しておきましょう。
一転、メジャーSQ算出に伴う先物の仕掛け的な売買が横行する中で現在の過度な不安感が後退すれば、一旦はショートカバー(売り方の買い戻し)の流れとなり反発力を強める可能性もあります。
目先はあくまでも株価のレンジ上下と日中ボラティリティを意識しながらお取り組みください。
とくにメジャーSQ後の動きとしましても、どちらに振れても動揺してしまうことのないよう事前に頭の中で値動きをシミュレーションした上で売買判断を行っていただくことが重要になると思います。
本日の動きも不安定で曖昧なものとなり、水準観の落としどころも分かりにくいところがあります。
ただし、あまりにも水準観を無視した怒涛の売り仕掛けであったとなれば、行き過ぎもまた相場なわけです。
株式市場を取り巻く環境に不透明感が強まっている中で、取って付けたような売りの材料が持ち込まれるのがお決まりのパターンです。
売り方にとっては日本企業の中身など全然知らなくても、売りを仕掛けて儲かるかどうかだけが売買判断の裏付けになります。
ましてや、機械的な売買プログラムとなればその傾向は強まります。
今日の売買代金は2兆円程度で、このままメジャーSQ通過後も買い方の参加がなければ、やはり3月の米FOMCまでは同じような地合いが続かざるを得ないと言えるでしょう。
以前のような市場の活況が待ち遠しいですね。
【 人 生 の 格 言 】
『 心配するのは時間の無駄だ。心配は問題を解決しようとする私の邪魔になる。 』
(第45代米大統領 ドナルド・トランプ)
それでは、明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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